3月3日
2019年3月3日

「突風を静める」
 内田 武士 牧師  ヨナ書 1:1-10 マルコによる福音書 4:35-41


 世界教会協議会WCCのシンボルは舟です。教会は昔から舟にたとえられることが

多かったようです。教会の建物をそれに似せて造られたのを目にします。今日わたし

たちに示された御言葉は舟にかかわるもので共通しています。

 さて、ヨナはイスラエルの繁栄を預言した人です。ところが神からニネベへの宣教

命令が出されたのにも拘らず背を向けて逃亡を計ってしまいました。タルシシュへの

船で「主は大風を海に向かって放たれたので、海は大荒れとなり、船は今にも砕けん

ばかりとなり・・」船内は大騒ぎになりました。挙句の果て、くじに当たった者が災

いの原因だとされ、ヨナがその原因だと決め付けられ、海に投げ込まれました。嵐が

収まって、船は無事に目的地に到達、その後の彼の行動はめまぐるしく展開していき

ます。嵐は「大風を海に向かって放たれる」神によって起きたのです。嵐を静めるの

は神の御心によります。全世界のヨナのようなわたしたち一人びとりが心から悔い改

めて神の御心と一つになるようにと祈るものです。

 その神の御心が示されているのが新約聖書マルコ4:35〜41です。冒頭でイエスは、

「向こう岸に渡ろう」と弟子たちに言われました。ところが激しい突風が起こり、舟

は波をかぶって、水浸しになるほどでしたがイエスは眠っておられました。弟子たち

のうろたえように主イエスは反応され「起き上がって、風を叱り、湖に『黙れ、静ま

れ』と言われた」のです。「すると、風はやみ、すっかり凪になった。イエスは言わ

れた。『なぜ怖がるのか。まだ信じないのか。』弟子たちは非常に恐れて『いったい、

この方はどなたなのだろう。風や湖さえも従うではないか』と互いに言った」のです。

 当時の原始教会が、教会という舟において経験した突風や嵐の中で、いつもそれを

克服、突破する原点としてこの主イエスを仰いでいたと思います。人間はいつも神の

御心に忠実に従うとは限りません。わたしたちが経験する嵐は、神の御心にしたがっ

て生きるようにとの勧告かもしれません。

 ここでもう一つ当時の人たちの励みとなったに違いない御言葉 詩篇107篇の28節

以下に目を止めたいと思います。「苦難の中から主に助けを求めて叫ぶと 主は彼ら

を苦しみから導き出された。・・・波はおさまった。/彼らは波が静まったので喜び

祝い 望みの港に導かれて行った。」と、あります。弟子たちは、静けさを喜び、波

が静まったのを喜び、その静けさを映すような静かな、穏やかな思いで、舟を勧める

ことができたのではないでしょうか。

 ある先人が今日示されたマルコ福音書の言葉に触れて「舟は揺れる、しかし、沈ま

ない」と言いました。わたしたちの上尾合同教会の舟はこの一年無牧という嵐にもま

れ、大きく揺れましたが、あなたをお乗せした限りにおいて沈むことはないとの堅い

信仰によってここまで導かれてきました。来年度より新しく迎える先生を旗頭にして

新しい船出をどうぞ祝してくださいと今はひたすら祈るのみです。

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