2月17日
2019年2月17日

「正しくない者の祈り」
 久保島 理恵 牧師  ダニエル書 9:1-9、14-23 マルコによる福音書 2:16-17


 ダニエルはエレミヤ書を読み、バビロン捕囚という苦難の期間が70年であること

を知ります。そこで神さまを仰いで断食し、粗布をまとい、灰をかぶって悔い改めの

祈りをしました。「わたしたちは罪を犯し悪行を重ね、背き逆らって、あなたの戒め

と裁きから離れ去りました。」(5節)「主よ、恥を被るのはわたしたちであり、そ

の王、指導者、父祖なのです。あなたに対して罪を犯したのですから。」(8節)ダ

ニエルは罪を告白し、必死に赦しを求めます。「憐れみと赦しは主である神のもの。」

(9節)「わたしたちが正しいからではなく、あなたの深い憐れみのゆえに、伏して

嘆願の祈りをささげます。」(18節)「わたしの神よ、御自身のために、救いを遅

らせないでください。あなたの都、あなたの民は、御名をもって呼ばれているのです

から。」(19節)

 神さまに赦していただくのは、わたしたちが正しいからではありません。わたした

ちは御前において背いてばかりであり、聞き従わず、逆らってばかりです。ダニエル

はイスラエルを襲った災難を、究極的には神さまから離れた罪に対する裁きとしてと

らえています。神さまが罪を裁くことがおできになるのは、神さまがどこまでも正し

い方だからです。神さまは正しい方なので、そのようなわたしたちの罪を見過ごさず、

放っておくことはなさらないのです。ですから神さまの裁きの厳しさは、わたしたち

人間の罪がいかに深刻であるかを表すとともに、神さまが徹頭徹尾正しい方であるこ

とを示します。そしてダニエルは神さまが正しいお方であると知っているからこそ、

この方に頼るのです。神さまがわたしたちを憐れんでくださる以外に赦される道はな

いからです。

 バビロン捕囚という過酷な苦難の中で自分たちの罪の深さを示され、苦悩で押しつ

ぶされそうになっているダニエル。しかし神さまはその祈りを全部聞くまでもなく、

実は初めからまっすぐ向き合ってくださっていました。ですから天使ガブリエルをお

遣わしになり、「お前は愛されている者なのだ」と語りかけます。そしてダニエルの

祈りに対して神さまが備えてくださった本当の答えは、捕囚からの解放にとどまりま

せんでした。奇しくも同じガブリエルが御降誕を予告した主イエス・キリストにつな

がっていきます。キリストがわたしたちのところに来てくださった。ここに神さまの

愛があります。わたしたちは確かに神さまに愛されている者なのです。

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