バビロン滅亡後、ダニエルはメディアの王ダレイオスに仕えることになりました。 ここでも彼は王から厚い信頼を寄せられ、大臣として重用されます。ところが他の大 臣たちがダニエルを妬み、陥れようと画策します。そして彼らは、次のような禁令を 出すことを王に進言するのです。「向こう三十日間、王様を差し置いて他の人間や神 に願い事をする者があれば、獅子の洞窟に投げ込まれる」(13節)。これは明らかに、 神さまのみを信じるダニエルに対する迫害でした。 ダニエルはずっと礼拝を守ってきました。捕囚以来、周りに神さまを信じる人たち がほとんどいない環境の中でも、神さまを礼拝し続けてきました。ところが王の命令 は、その礼拝生活を禁ずるものでした。そして禁令を破ることは死を意味しました。 しかし、「ダニエルは王が禁令に署名したことを知っていたが、家に帰るといつもの とおり二階の部屋に上がり、エルサレムに向かって開かれた窓際にひざまずき、日に 三度の祈りと賛美を自分の神にささげた」のです。(11節) ダニエルがこの時も「いつものとおり」信仰者として礼拝を守ったこと。実は、こ れこそが奇跡です。獅子の洞窟に投げ込まれ、そこから命が助かったことよりも奇跡 的です。ダニエルが迫害を乗り越えた地点は、獅子に噛まれなかったというところで はありません。いつものとおり礼拝を守ったというところです。 いざという時の決断は、その時だけのものではありません。実は、日々の生活と地 続きです。それまでの信仰生活の積み重ねが、いざという時に明らかになります。わ たしたちは日曜ごとに自分の時間を神さまに献げ、そしてわたしたち自身を献げます。 それは決して楽なことではありません。でもそのことを通して、神さまがわたしたち を信仰者として育ててくださり、困難な時も耐えられるように鍛えてくださっている のです。 ダニエルは礼拝をする者の姿です。ダニエルは神さまを信頼し、神さまにすべてを 委ねました。いつものとおりそのことに徹したダニエルを、神さまは確かに守ってく ださり、導いてくださいました。わたしたちも、毎週この方の御前に自分自身を差し 出しています。そして主は確かに、その度に新しい命でわたしたちを満たしてくださ っています。 説教集インデックスへ戻る