レビ記 18:1-20 テサロニケの信徒への手紙一 4:1-8
十戒の第7の戒めは、『あなたは姦淫してはならない』と、男と女、結婚生活に関 わるわたしたちの生活領域についての禁令です。ハイデルベルク信仰問答では、この 領域においては、ただ不倫、姦淫と言った正当な結婚の関係からの逸脱を禁じるだけ でなく、すべてのみだらで享楽的な言葉やふるまい、生き方にたいして「慎みと純潔」 を求めて、キリストの贖いによって罪を赦され「聖霊の宮」とされているわたしたち の身体と魂とを聖く保つように勧めています。 性の欲望と結婚をめぐる問題は現代の社会ではプライベートの領域で、公の場で口 にすべきことではなく、個々に隠されていなければならないという社会規範と共に、 過度の露出とスキャンダル、破綻に満ちた結婚生活の症例、LGBTをめぐる問題などの 話題に満ちています。人間の性や結婚生活、家庭生活についての本質、核心に深く迫 るよりは周辺的なこと、ゆがんだことへの関心に振り回される傾向が強く、この生活 領域によって神から与えられている大いなる祝福と喜び、平安を思い見ることが少な いように思います。第7戒は「あなたは姦淫してはならない」と「あなた」への神か らの呼びかけ、呼び出しであって、社会一般の性道徳の乱れを戒めるための規範とし てではなく「わたし」の課題として、この戒めをどのように聞くかが問われています。 創世記には、「我々にかたどり、われわれに似せて人を造ろう。そして、すべての 生き物を支配させよう」と決意されて、男と女に創造されたことが記されています。 さらに、第二の創造物語では、神は土からつくられ命の息を吹き込まれて生きたもの となった人間をご覧になって、「人は独りでいるのは良くない」と思われて、人を深 く眠らせて、人のあばら骨の一部を取って女を造られた、これによって「これこそつ いにわたしの肉の肉、骨の骨」といえる助け手を得たことが記され、それゆえに人は 父母を離れて男と女とが結ばれ一体になる、と語られています。このことは、人は自 分の力で助け手を手に入れたわけではないこと、その助け手の創造者でも主人でもな いことを示しています。しかし、男と女は神によって一体とされたもの、ふさわしい 助け手として与えられたものという基本のことが語られています。ここから男と女だ けではなく、親と子、隣人すべての人格的な関係、「あなたとわたし」と呼べる関係 が広がります。この関係において自らを神のようになろうとすることから起こる逸脱、 破壊ではなく「慎みと純潔」が求められるのです。
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