エレミヤ書 33:14-16 ルカによる福音書 21:25-36
アドヴェントの最初の主日、主から与えられる言葉は預言者エレミヤを通して語ら れたメシヤ預言です。「わたしはダビデのために正義の若枝を生え出でさせる。彼は 公平と正義をもってこの国を治める。その日にはユダは救われ、エルサレムは安らか に人の住まう都となる」と、来るべき日に確かなシャロームが実現されると約束され ます。そのシャロームに欠かすことのできない要件として、「正義の若枝が生えでる こと」と「公平と正義によって治められること」の二つです。「正義の若枝」とは切り 倒されたダビデ家の末裔の中から、武力や富によってではなく、正義と公平によって 国を立て直す救い主が現れるということで、まさにキリストの到来を告げる預言とな っています。このような未来を望み見ること、このような明日を期待することは、バ ビロンに滅ぼされて荒廃しきったユダヤやエルサレムにとって、まさに天からの慈雨 のような慰めと希望を与えるものでした。相次ぐテロの残虐さに心が凍るような経験 をしている今日の世界においても、慰めと励ましを与えられます。 エレミヤの預言と共に与えられるこの日の新約の御言葉は、主イエスによって語ら れた終わりの日の預言です。それは安易な希望や慰めをかき消すような響きを持って います。戦争や暴動のこと、イエスの名を騙る者が現れること、大きな地震や飢饉、 疫病が起こること、このような天災・人災に続いて、あなたがた、すなわちキリスト 者に対して激しい迫害が起こることなどが起こることが告げられます。世界の歴史、 教会の歴史を知れば、これらの出来事は、未知のこと、想定外のことではなく、あり えたこと、ありうることであることはわたしたちにもわかります。しかし、主イエス はさらに、「太陽と月と星に徴が現れる。地上では海がどよめき荒れ狂うので、諸国 の民はなすすべを知らず不安に陥る…」と、人間の知恵や力ではまったく手も足も出 ないような、大きな破滅的な出来事が起こることが予言されます。驚くべきことに、 「このようなことが起こり始めたら、身を起こして頭を上げなさい。あなたがたの解 放の時が近づいたからだ」と告げられるのです。主イエスが再び来られるとき、第二 のクリスマスが到来する様子がこのように語られるのです。最初のクリスマスも人間 の想定する姿とは違った場所と姿でしたが、第二のクリスマスにどのように備えて待 つべきか、「天地は滅びるが、わたしの言葉は決して滅びない」、この変らないものに 希望と慰めを置くこと、が求められます。
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